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アンデルセン氏白鳥の歌

690
   「聞けよ」('Hore,')
  また、
   月はかたりぬ
   やさしくも
   アンデルセンの月はかたりぬ。
 
        ※

691
   海あかく
   そらとけじめもあらざれば
   みなそこに立つ藻もあらはなり。

        ※

692
   みなそこの
   黒き藻はみな月光に
   あやしき腕をさしのぶるなり。

        ※
693
   おゝさかな、
   そらよりかろきかゞやきの
   アンデルセンの海を行くかな。

        ※

694
   ましろなる羽も融け行き
   白鳥は
   むれをはなれて
   海にくだりぬ

        ※

695
   わだつみに
   ねたみは起り
   青白きほのほのごとく白鳥に寄す。
        ※
695a
   青白きほのほは海に燃えたれど
   かうかうとして
   鳥はねむれり

        ※

696
   あかつきの
   琥珀ひかればしらしらと
   アンデルセンの月はしずみぬ。

        ※

697
   あかつきの琥珀ひかれば白鳥の
   こころにはかにうち勇むかな。

        ※

698
   白鳥の
   つばさは張られ
   かゞやける琥珀のそらに
   ひたのぼり行く。