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     〔仰臥し右のあしうらを左の膝につけて〕

仰臥し右のあしうらを
左の膝につけて
胸を苦しと合掌し奉る
忽ち
われは巌頭にあり
飛瀑百丈
我右側より落つ
幾条の曲面汞の如く
亦命ある水の如く
落ちては
堂ゞ轟々として
その脚を見ず
わが六根を洗ひ
毛孔を洗ひ
筋の一一の繊維を濯ぎ
なべての細胞を滌ぎて
清浄なれば
また病苦あるを知らず
われ恍として
前渓に日影の移るを見る
いとゞしく
過ぎにしかたのかなしきに
うらやましくもかへる浪かな