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県道

つめたい雨も木の葉も降り
町へでかけた用タシたちも
半蓑ケラをぬらして帰つてくる
  ……凍らす風によみがへり
    かなしい雲にわらふもの……
牆林ヤグネは黝く
上根子かみねこぜきの水もせせらぎ
風のあかりやおぼろな雲に洗はれながら
きやらの木が塔のかたちに刈りつまれたり
崖いつぱいの萱の根株が
あやしいべにをくゆらしたり
  ……さゝやく風に目をつむり
    みぞれの雲に喘ぐもの……
北は鍋倉なべくら円満寺
南は太田飯豊いひとよ
小さな百の組合を
凍つてめぐる白の天涯


掲載誌「現代日本詩集(1933年版)」(1933年4月1日)
関連作品:「春と修羅 第二集」の「三三一 凍雨」