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エレキや鳥がばしやばしや飛べば
キロに亘る林のなかで
枯れた巨きな一本杉が
もう専門の避雷針とも見られるかたち
  ……けふもまだ熱はさがらず
    Nymph,Nymph,Nymphaea……
杉をめぐって水いろなのは
羊歯の花を借りて来て
梢いっぱい飾りをつけた
古い柏の樹ででもあらう
  ……最後に
    火山屑地帯の
    小麦に就て調査せよ!……
雲は淫らな尾を曳いて
しづかに森をかけちがふ


掲載誌「文藝プランニング」第三号(1930年11月1日)
関連作品:「春と修羅 第三集」の「一〇六八 〔エレキや鳥がばしゃばしゃ翔べば〕」