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昇羃銀盤

寅吉トラキチ山の北のなだらで
雪がまばゆい銀盤になり
山稜の藍いろの木の昇羃列が
そこに立派な像をうつし
またふもとでは
枝打ちされた緑褐色の松並が
アークになってうかんでゐる
恍とした佇立のうちに
雲はばしゃばしゃ飛び
風は
中世騎士風の道徳をはこんでゐた


掲載誌「銅鑼」第六号(1925年1月1日)
関連作品:「春と修羅 第二集」の「四〇八 〔寅吉山の北のなだらで〕」