目次へ  縦書き

青い槍の葉(挿秧歌)

 (ゆれる、ゆれる、やなぎはゆれる。)
くもる、みなみ地平ちへい
そらのエレキをせてる、
とりはなく青木あをきのほずえ、
くもやなぎの かくこどり
 (ゆれる、ゆれる、やなぎはゆれる。)
くもがちぎれて ざしがれば
黄金きん幻燈げんとう くさあを
気圏きけん日本にほんの ひるまのそこの、
どろにならべる くされつ
 (ゆれる、ゆれる、やなぎはゆれる。)
くもる、ぎんばん
エレキづくりのかはやなぎ、
かぜとおれば らし、
うまもはねれば くろびかり。
 (ゆれる、ゆれる、やなぎはゆれる。)
くもれたかまたがそゝぐ、
どろのコロイド そのそこに、
くろくおどりは ひるまの燈籠とうろう
つちのスープを むからす。
 (ゆれる、ゆれる、やなぎはゆれる。)
りんとて、あをやり
たれさうの やりぢゃなし、
ひかりのそこで いちにちひがな、
どろにならべる やりれつ
 (ゆれる、ゆれる、やなぎはゆれる。)
くもがちぎれて また夜があけて
そらは黄水晶しとりん でりあめ、
ふっといきつくぶりきのやなぎ
くもにしらしら そのやなぎ、
 (ゆれる、ゆれる、やなぎはゆれる。)
りんとて あをやり
そらはエレキの しろあみ
かげとひかりの 六ぐわつそこ
気圏きけん日本にほんの 青野原あをのはら
 (ゆれる、ゆれる、やなぎはゆれる。)


掲載誌「天業民報」第882号(1924年8月16日)
関連作品:「心象スケッチ 春と修羅」にほぼ同じ作品