目次へ  縦書き

     會合(邂逅)(作品第一〇一二番)

甲助なら
今朝まだくらあに
たつた一人で
綱取つなどりさ稼ぐさ行つたであ
  ……赤楊はみんな氷華がついて
    野原はうらうら白い偏光……
唐獅子いろの乗馬ずぼんはいでさ
新らし紺の風呂敷しよつてさ
親方みだい手ぶらぶらと振つて行つたであ
  ……雪に點々けぶるのは
    三つ澤山の松のむら……
清水野がら大曲野まがりのがら後藤野ど
一人で威張つて歩つて
大股にいくうぢはいがべあ
向ふさ着げば撰鉱だがな運搬だがな
組では小屋の隅こさちよこつと寝せらへで
たゞの雑役人夫だがらな
  ……江釣子森が
    ぼうぼうと湯気をあげて
    氷錯酸の塊りのやう……
あらがだ後藤野さかゞつたころだ