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     昇羃銀盤(作品第四〇八番)

寅吉山の北のなだらで
雪がまばゆいタングステンの盤になり
山稜の藍いろの木の昇羃列が
そこに立派な像をうつし
またふもとでは
枝打ちされた緑褐色の松並が
アークになってうかんでゐる

恍とした佇立のうちに
雲はばしやばしや飛び
風は
中世騎士風の道徳をはこんでゐた