目次へ  縦書き

     下背に日の出をもつ山に関する童話風の構想(作品第三七五番)

つめたいゼラチンの霧もあるし
桃いろに燃える電気菓子もある
またはひまつの緑茶をつけたカステーラや
なめらかでやにつこい緑や茶や橄欖オリーブの蛇紋岩
むかし風の金米糖でも
Wavelite の牛酪でも
またこめつがは青いザラメでできてゐて
さきにはみんな
大きな乾葡萄レジンがついてゐる
みやまうゐきやうの香料から
蜜やさまざまのエツセンス
そこには碧眼の蜂も顫える
さうしてどうだ
風が吹くと 風が吹くと
傾斜になつたいちめんの釣鐘草ブリユーベルの花に
かゞやかにかがやかに
またうつくしく露がきらめき
わたくしもどこかへ行つてしまひさうになる
蒼く湛へるイーハトーヴオのこどもたち
みんなでいつしよにこの天上の
飾られた食卓に着かうではないか
たのしく燃えてこの聖餐をとらうではないか
そんならわたくしもたしかに食つてゐるのかといふと
ぼくはさつきからこゝらのつめたく濃い霧のジエリーを
のどをならしてのんだり食つたりしてるのだ
おまけにいまにあすこの岩のところから
まるで恐ろしくぎらぎら熔けた
黄金の寳輪くるまがのぼつてくるか
それともそれが巨きな銀のラムプになつて
白い雲の中をころがるか
どつちにしても見ものなのだ
おゝ青く展がるイーハトーヴオのこどもたち
グリムやアンデルセンを読んでしまつたら
じぶんでがまのはむばきを編み
経木の白い帽子を買つて
この底なしの蒼い空気の淵に立つ
巨きな菓子の塔を攀ぢやう