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     業の花びら(異稿)(作品第三一四番)

夜の湿気と風がさびしくいりまじり
松ややなぎの林はくろく
空には暗い業の花びらがいつぱいで
わたくしは神々の名を録したことから
はげしく寒くふるへてゐる

ああたれか来てわたくしに言へ
 「億の巨匠が並んでうまれ
  しかば互に相犯さない
  明るい世界はかならず来る」と
   ……遠くでさぎが鳴いてゐる
     夜どほし赤い眼を燃して
     つめたい沼に立ち通すのか……

松並木から雫が降り
窓のどこかを
風がごうごう吹いてゐる
わづかのさびしい星群が
雲から洗ひおとされて
その偶然な二つつが
黄色なのぎで結んだり
残りの巨きな草穂の影が
ぼんやり雲にうつつたりする