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     曠原淑女(作品第九三番)

日ざしがほのかに降つてくれば
またうらぶれの風も吹く
にはとこやぶのうしろから
二人のをんながのぼつて来る
けらを着粗い縄をまとひ
萱草の花のやうにわらひながら
ゆつくりふたりがすゝんでくる
その蓋のついた小さな手桶は
今日ははたけへのみ水を入れて来たのだ
今日でない日は青いつるつるの蓴菜を入れ
缺けた朱塗の椀をうかべて
朝の爽かなうちに町へ賣りにも来たりする
鍬を二挺たゞしくけらにしばりつけてゐるので
曠原の淑女よ
あなたがたはウクライナの
舞手のやうに見える
  ……風よたのしいおまへのことばを
    もつとはつきり
    この人たちにきこえるやうに云つてくれ……