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     國立公園候補地に關する意見(作品第三三七番)

どうですかこの熔岩流は
殺風景なもんですなあ
噴き出してから何年たつかは知りませんが
かう日が照ると空気の渦がぐらぐらたつて
まるで大きな鍋ですな
いたゞきの雪もあをあを煮えさうです
まあパンをおあがりなさい
いつたいこゝをどういふわけで
みんなが運動せんですか
いや可能性 それは充分ありますよ
もちろん山をぜんたいです
火口湖 温泉 もちろんですな
鞍掛山もむろんです
ぜんたい鞍掛山はです
大地獄よりまだ前の
大きな火口のへりですからな
さうしてこゝは特に地獄にこしらへる
愛嬌たつぷり東洋風にやるですな
鎗のかたちの赤い柵
枯木を凄くあしらひまして
あちこち花を植ゑますな
花といつてもなんですな
きちがひなすびまむしさう
それから黒いとりかぶとなど
とにかく悪くやることですな
さうして置いて
世界中から集つた
猾いやつらや悪どいやつの
頭をみんな剃つてやり
あちこち石で門を組む
死出の山路のほととぎす
三途の川のかちわたし
えんまの廳から胎内くぐり
はだしでぐるぐるひつぱりまはし
ぞれで罪障消滅として
天國行きのにせ免状を賣りつける
しまひはそこの三つ森山で
交響樂をやりますな
第一樂章 アレグロコンブリオははねるがごとく
第二樂章 アンダンテややうなるがごとく
第三樂章 なげくがごとく
第四樂章 死の気持ち
よくあるとほりはじめは大へんかなしくて
それからだんだん歓喜になつて
最后は山のこつちの方へ
野砲を二門かくして置いて
電気でずどんと實弾をやる
Aワンだなと思つたときは
もうほんものの三途の川へ行つてるですな
ところがこゝで豫習をつんでゐますから
誰もすこしもまごつかない
またわたくしもまごつかない
さあパンをおあがりなさい
向ふの山は七時雨
陶器に描いた藍の繪で
あいつがつまり背景ですな