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     鳥(作品第四〇番)

水いろの天の下
高原の雪の反射のなかを
風がすきとほつて吹いてゐる
茶いろに黝んだからまつの列が
めいめいにみなうごいてゐる
鳥が一羽菫外線に灼けながら
その一本の異状に延びた心にとまつて
ずゐぶん古い黄いろの夢を
おもひださうとあせつてゐる
風がどんどん通つて行けば
木はたよりなくぐらぐらゆれて
鳥は一つのボートのやうに
  ……鳥もわざとゆすつてゐる……
冬のかげらふの波に漂ふ
にもかゝはらずあちこち雪の彫刻が
あんまりひつそりしすぎるのだ