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[65] 1918年5月27日 宮澤政次郎あて 封書

(表)稗貫郡花巻川口町 宮澤政次郎様 平信
   盛岡市内丸二九 玉井方 宮沢賢治拝(封印)〆

謹啓 昨日は色々と御礼申し上げ候 玉井様よりも厚く御礼有之候

扨て本日学校に参り見申し候所兼ての辞令の費用は学校の庶務課より出でたるものに有之受けても別段に迷惑は諾方に無之様に御座候へども只右辞令に相当する様の仕事は致し兼ね候為且つは来年学校に研究生として残り候人には右辞令を与へざる由にて恐らくは来年の研究生は郡より出張旅費を得るのみと相成るべく為に或は右希望の人無之事と存じ候 斯ては誠に郡にも気の毒に御座候間何卒今回私の受くる金額(多分百五十円)中半分或は百円をその人の方へ廻す様に致したくと存じ候 先生も実は御賛成の様に思はれ候 次に郡よりは出張中必らず判任官待遇致す由に御座候へども今回土壌分析試薬の費用等を追加予算とする由にて加ふるに私の研究論文印刷費用等(地図をも加へ)も入り候はゞ到底参事会を通過致し兼ね候儀と存じ候間私の方は郡よりは百二十円を限度として受くる様御許可願上候

依て多分今学年中には百数十円御補助を仰ぐ様の事と相成るべく候

いつまでも御迷惑のみ相掛け誠に御申し訳け無之次第に御座候

次に雨合羽は当地にて尋ね申すべく候間何卒御心配下さらぬ様願上候

尚先日母上の御しまひ下され候羅紗の切は後に清六の大沢遠足の際御持たせ下さる様奉願候

尚来月も又十日許豊沢方面へ参るべく候。   先は以上

敬具

大正七年五月廿七日                宮澤賢治拝

父上様
  外みなみな様

二伸

尚今回清六は大沢へ遠足の由に御座候処昨年太郎さんの組台へ参り候際松屋及木村医者さんにて何か菓子の様のものを寄附致し候由に御座候 就ては今度も又その様の事有之べく候処何卒今度七月一日清六帰花の際おこしか何かを紙に包まず菓子屋に頼み適量にボール箱にでも御入れ下され度奉願候

太郎さんは殊によれば南方に汽車にて遠足の運びと相成るかとも存じ候間之又同様に御取扱奉願候

  何分にも当分は皆々にて御迷惑のみ相掛け御申し訳無之次第に御座候  以上