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[59] 1918年4月30日 保阪嘉内あて 葉書

(表)東京府下中渋谷道玄坂二九八 ばれんや旅館内 保坂嘉内様
   四月三十日 岩手花巻川口町  宮沢賢治拝

御手紙ありがたう存じます また私の古い手紙などを御読み下さったりありがたうございます。どうかどうかあんな私のかたよった語を過信しないで下さい。あなたみづからかゞやく波のたゞなかに進み入り深くその底をも定めやがては人天集ってあなたの説法を希ふやうにおなりになるのを祈ります。けれどもそれが喜びではないのでせう。さうならうとしてのみ私共は進むのではない筈です。どうか私のやうながさつなものをもあなたと一諸に行かせて下さい。

さよなら