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[487] 1933年9月7日 森佐一あて 封書

(表)盛岡市惣門 森 惣一様 平安
(裏)九月七日 花巻町 宮沢賢治拝(封印)〆

昨晩徳弥さんのところからあなたがお送り下すった由で立派な果物と本を二冊届けて来ました。昨年も戴いて居りそのご挨拶さへまだ録に申しあげないうちに重ねての次第で何とも恐縮です。どうかご家中皆々様へも宜しくお伝へねがひあげます。

徳弥さんの歌集拝見して居りますが私にも何か感想を書けとのこと。あなたの新聞よりお願ひする処もありませんから、そのうちどなたか歌人のかたが本格的に招介亦は評論されました後、別の面から観たところうぼつぼつと綴ってお送りいたして見やうかと思って居ります。徳弥さんの手紙の口調ではどうやら先にあなたに一言でも批評して貰ひたい様子でした。

次に先日母木氏来られ詩人たちの噂などいろいろ伺ひました。その后郷里からの手紙に石川さんの随筆あなたのお手許になかった由、私は版元からまっ先に行ったものと思ひ、数部もちながら差しあげるのをご遠慮いたして居りました。尚一二部ありますから送り先ご指定ねがひます。

別便浮世絵少しくお送りいたします。真版と再刻品をお見分けいたゞきたく、念のため半日日光にあてますからお納め下さらば幸甚です。真版が二三枚あればあとは再刻品の全くいゝものの見当ったとき一年に二枚か三枚加へて行くこと仲々楽しみです。   まづは。