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[473](1933年5月1日)鈴木東藏あて 封書(封筒ナシ)

拝啓 四月三十日附貴簡拝誦仕候

右岩崎開墾地に就ての照会は新任高野技師の考によるものに有之氏は曾ては本県にて国民高等学校を開設し、后宮城県広淵沼の開墾を完成し、今回再び本県にて六原道場と岩崎開墾地を経営せらるゝ次第、先年来の本石灰事業同情者に有之今回も来花の際面談致置候間、何卒充分の御誠意を以て御回答方願上候。岩崎開墾地は五百町歩に有之候へ共外に六原の三百町歩、この成績の良好なる限り県内各地数万町歩に同様の施設起るべくとの事に候。右様の事業は孰れも酸きも甘きも分り切ったる高野技師の管括なれば宣伝様或は広告様の事は却って不可と存ぜられ候。

次に高農の方は一昨年農芸化学科小野寺伊勢之助博士に一俵を寄贈して生徒卒業論文の資料として実験を乞ひたるものに有之候間若し右成績を求めらるゝならば可成は御出校の上実験の労を謝せられ工場の模様など細かにお話し下され更に若し結果発表を得べきやを叮重に求められ度御座候 小生も右成績は甚鶴首して待ち居り候へ共何分にも手紙にては先輩へ色々手数を掛けし上余りに失礼と存じ切に病癒ゆるを待ち居たるに御座候

先は右取急ぎ御返事迄如斯御座候

敬具