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[464] 1933年3月26日 佐藤元勝あて 封書(封筒ナシ)

お手紙ありがたく拝誦いたしました。

御老師並に皆々様いよいよご健勝の趣、市の川様より伺ひ上げ、何とも力強く存じ居ります。私意久地なく疾んでばかり居りまして、いろいろご心配を掛け上げお申し訳けもありません。

悪念、外に発せざるもの、次第に集積敗爛してこの患をなしたるものかと、自ら呆れて笑ふこともあります。

暖になりました。ご散策のお序など、お気の向いた節、商家で恐れ入りますが、お立ち寄り下さらばまことに幸甚です。石橋氏ご一諸も小生より望む処です。たゞ往来もさうですが病中何かに失礼もあると存じますからその辺予めお伝へ置きねがひあげます。

 まづは拝眉を期しながらご返事まで申しあげます。

  三月廿六日

宮沢賢治

 佐藤元勝様
     硯北