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[45] 1918年2月8日 宮澤政次郎あて 封書(托便)

   (表)花巻川口町 宮澤政次郎様
   (裏)(封印)〆

謹啓 今朝は色々と有難く存じ奉り候 午後に至りて先生に御手紙を出し、且つは大体の希望など話し候処大に喜ぱれ、化学工業的の仕事望みならぱ丁度今度学校に工業化学の新科目も増し書籍等も大分購入する所にて都合よかるべくと、又林産製造に就ては林学の上村教授の指導をも得さすべく或は他への招介をも為すべし等約され且つは又之等実験に伴ふべき設備等も作るべしと申され候

尚今春早々父上とも御相談申すべし等云はれ候

鶴見氏にも話し候処元来仕官希望の所にてその事と致され誠に喜び居り候

尚先生は大低六月頃迄の事と推察され候様にて後に鶴見氏に十一月の入営迄研究生として止まる様に今次の試験後二人にて願書を出す様致し呉れと申され候由に御座候 依て先づ八月迄は専ら地質、土壌乃至は理論化学の勉強を致し以後は応用化学的の方を致すべく候

御陰にてあちこち満足に進行致し殊に小生は自由に研究も手伝も為し得る訳にて誠に有難く御礼申し上げ候

又今夕苹果を求め侯へども更に満紅のよきものなくこれは価段は高くは無之候へども贈物として宜しく御座候や

先は御送附申し上げ候 以上

勿々

   大正七年二月八日

 父上様                      賢治拝  母上様