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[433](1932年10月) 草野心平あて 下書

お手紙が今日も会から参って居りそちらも予定や何かお急ぎと思ひあなたまで申しあげる次第です。

石川さんも本統にこれから明るい目も見やうといふ所でした。あなたはご一諸にも居られ、亡くなられたあとの何かに、いろいろお骨折りなすったらうと思ひます。当時わたくしは血を出したりして気も弱って居りうちでは葉書も見せなかったのです。

あなたへも数回手紙を書きかけましたが主義のちがひですか、何を書いても結局空虚なやうな気がして、みんな途中でやめました。ちがった考は許すならやっぱりにせものです。何としても闘はなければならないといふと、それはおれの方だとあなたは笑ふかもしれません。さうでもないです。わたくしの今迄はたゞもう闘ふための仕度です。

ご翻訳拝見いたしました。続けてお仕事の間からもっとどうか見せてください。ちゃんと読者になりますから。

 まづはおねがひまで。

宮沢拝

  草野様