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[414] 1932年5月10日 佐々木喜善あて 封書

   仙台市成田町一一六 佐々木喜善様 崇安
   五月十日 岩手県花巻町

民間伝承第二号ただいま辱けなく拝受いたしました。

編輯 版行のご苦心一字一字にもしのばれ勿体ないやうに存ぜられます。まだ一ぺんひらいて見たばかりでございますが、方言の民話面白く心を惹かれました。

今日はもはや十日ですから或は両三日中再びご来花の運びになるかと思ったり、或はこの頃ブルガリヤの人とかも来てゐたさうだしおやめになるのかとも危んだりして居ります。もし幸にお出ましあれば、何卒重ねて拝眉を得たく存じ居ります。

何分前回は起きあがりもできずにお目にかかって居り、病中居は同様のきうくつな立場なので、いろいろ失礼ばかり重ね、すっかりおこりになったかとも恐れる次第です。ただ今やっと座って居れるやうになり五六ぺん休めば店あたりまでも歩けるやうになりました。童話、盛岡からまだ来ませんでお送りいたさず済みません。父や母からもよろしく。

まづはお出ましにならない前と思ひ大急ぎのご挨拶まで申しあげます。