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[404] 1932年2月5日 高橋久之丞あて 封書

   稗貫郡湯本村狼沢 高橋久之丞様
   二月五日 花巻町

再啓 貴意を参照、左の如く産出仕候

厩肥       弐百貫
硫安       弐貫
魚粕       参貫五百
大豆粕      拾貫
強過燐酸     四貫五百
骨粉(蒸)    弐貫
炭酸石灰(二粍) 七貫五百(半俵)

赤渋の処は硫安の代りにアムモホス弐貫とし過燐酸を参貫とす。

次に昨年の燐酸アルミナは明に効果あり候 それはあの天候にて三石、四等米七分といふことは緩効の燐酸の作用甚大と看做さざるべからず候。

但し右は連用を忌み候間本年は骨粉と致し候、硫酸加里は石灰を厩肥に働かせる事と致し御希望通り除き候。

赤渋地にて燐酸を全廃、石灰代用は不可と存候。赤渋地にはアムモホス最もよく候へ共、単用も又気候に仍ては危険有之候間前記の如く致し置候。

本年の天候略々昨年の型にて、あれよりは暖くと仮想致し置候。

藤助様等厩肥量及米質不明にて一寸設計に困り候へ共一応送り申上べく候。

二伸 御照会の炭酸石灰価格の件、工場と数回打合せ候為、御返事も遅れ候処工場の申し分にては、米価も上り工賃も値上を要し(今まで一人一日五十銭)他肥料も一般に三割高なれば、工場製品も十貫に付五銭(叺も三銭高)の高価に非れば本年は間に合はずとの事に候。即ち右にては当地は十五貫一俵に付七銭五厘高の六拾銭内外と相成る次第に御座候。(一車以上の値段)

然れども当地には作冬の製品三車ばかり有之候間右ある間昨年通り

花巻倉庫渡し十五貫一俵(一車値段) 五拾弐銭五厘

に願ひ上候。小売は盛岡、花巻、水沢、一ノ関みな七十五銭乃至八十銭に御座候

貴下御口添の分何俵にても右一車価格にて差上申すべく候。何分ぎりぎりの価格に候間折角御奔走御取纏め被下候も更に割引といふ事は六ヶ敷く何卒御用の分丈け御無理なきやう御世話下さらば幸甚に御座候。

実は工場との関係甚うるさく私も今春きりにて経済関係は断つ積りに有之、当地にて多く売れたりとも少しも私の得にならず候間決して御無理無之様重ねて願上候。