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[374] 1931年7月25日 鈴木東藏あて 封書(封筒ナシ)

  七月廿五日正午

拝啓 今朝お手紙を持参して中林氏を訪ひ支払方願候処未だに荷物調査もせず従って少しも売り込みも致し居らず計算の処は何とも本日は出来兼ぬるとの事に就き止むなく直ちに帰花中林氏の品物引当にて五十円出す様父へ談し候へ共尚仲々にはかどらず殊に土曜の午后と成り銀行の方も出来ざる為遂に本日は御送金の運びに至り兼ね候。但し明后廿七日午前迄には如何様にしても必ず御送申上べく何卒それ迄お待ち願上候。次に昨日御送附の緑青色標品見事なる色彩に有之一見は第三紀頃のプロピライト系統のものと存ぜられ候へ共産地は西方に有之候や。いづれにせよ充分見込有之と存候。先は何ともお気の毒乍ら右御報迄申上候

敬具