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[365] 1931年7月3日 鈴木東蔵あて 封書(封筒ナシ)

  七月三日

拝啓 昨日及一昨日盛岡市内に於る各店搗粉需要状態調査の成績左の如くに御座候

町名  店名   月使用量 仕入先   適要

油 町 丸善商店 三十貫  三ッ家小原 ・次回仕入レノ際当工場ノモノヲ注文

 〃  小林商店 四十五貫  〃    店主不在、取次ノ約、

 〃  川越千次郎 不詳  不詳    商勢甚不振

大工町 小原精米場 二百貫 三ッ家小原 丸久氏二土沢ヘノ米代数百円貸シアリ

    (三ツ家小原ノ分家)      当初甚険悪、后三ッ家へ敢次ノ約、

四ツ谷 加藤清次郎 三十貫 三ッ家小原 ・配給所ヲ設ケテ廉価供給ヲ望ム

材木町 中亀商店  六十貫 不詳    ・次回仕入レノ約、希望同前、

茅 町 石川本店 使用セズト称す ー  搗粉に理解ナキモノ、再訪ヲ要ス

 〃  大矢権二郎 五十貫 不詳    同業数名二図リテヨリ回答ノ約、

 〃  角喜商店  百貫  不詳(房州砂使用)充分諒解アリ同前ノ約、

新田町 向井田米店 四十貫 三ッ家小原 店主不在

梨ノ木町 大失勇藏 不詳  不詳    〃

三ッ谷 小原喜太郎 年一二車 福島、三春、三春産ノモノ最白色ナルヲ以テ断ジテ他品ヲ用ヒズトイフ。十五貫盛岡駅渡シ六十銭ナリト。当工場製品ハ白色ノ方モ三春産ノモノニハ著シク色彩劣ルトイフ。然レドモ成分ノ点二於テ如何トイフニ成分ノ如キ購買者誰カ之ヲ知ラントイフ。コノオヤジ米相場ナドヲナシ頭ニヌレ手拭ヲノセ甚頑固ナリ。昨年丸久氏ノ妻女数回訪ヒテ注文ヲ求メタリトイフ。折衝二時間遂二当工場製品二対シ何等ノ同情ヲ得ズシテ去ル。

三ッ谷 井上富造 六七十貫 不詳、  不在ナリシモ知人ノ仲介アリ。次回必ズ注文ヲ得ベシ。

茅 町 加藤米店 三十貫  不詳、  同前不在、取次ヲ約ス。

穀 町 阿部喜兵衛 七十貫(助川産品)何処ヨリカ小買スルラシ。次回。

鉈屋町 ・吉田末吉 五十貫(助川産品)次回仕入ヲ約ス。配給所希望。

 〃  村井源三、(酒造用、使用期、秋ヨリ、精米責任者不在)

 〃  細川重右エ門 三十貫 不詳 誰カ主人ナルヤ要領ヲ得ズ

河原町、(吉万二配給ヲ依頼セシモ矢張米屋二非レバ販売不可能ナリトノ説、且ツロ銭甚低キヲ以テ一車買取ハ採算二合ハズトイフ。)

 〃  ・小笠原酒造店 使用期二至ラバ必ズ照会スベキヲ以テ充分勉強セラレタシト。半車位。有望。

仙北町 木下春治  三十貫  助川、 店主不在、

仙北町 太田熊吉、 年五六車 助川、 当店ニテ盛岡市東部ニハ卸シヲ行フゴトシ。主人及家族交々他産品ノ標品ヲ出シテ審二当工場製品ト比較ス。助川産ノモノハ時二甚黒ク時二白シ。下孫産ノモノハ当工場産ノモノヨリモ黒シ。助川産ノヨキモノニハ当工場産品到底及バズ。但シ米糠ヲ日立タザル様ニスル意味ニテハ黒キモノ充分有望ナラントイフ。タゞソノ価格ノ間題ナリト。就テ今日ハ一車ヲトレルモノ大部分残レリ。次回ノコトニ関シテハ未ダ約ヲナスヲ得ズ。

仙北組町 木下春治 三十貫、 助川、 太田店ヨリ小買、

 〃  佐々木与右エ門  使用セズ、 但シ砂搗可ト定マラバ今后使用スベシ。ソノ際ハ廉ケレバ注文スベシ。

 〃  平野命助  不詳   不詳  主人不在

 〃  吉田勇次郎 使用セズ、    佐々木商店ト類ス

 〃  岡田商店  玄米卸店ニシテ精白ヲ行ハズ

大沢河原 村八米穀店 年数車、 助川 主人不在、再訪ヲ要ス。

馬 町 関口藤左エ門(浜藤酒造店支配人 小生ノ友人)今秋ノ使用ヲ略々約ス。

太田村産業組合、 秋期ノ石灰岩抹二関シテ宣伝、有望ナリ。
         精白ハスグ隣リノ個人経営ノエ場ニテ行フ。ソノエ場主人不在、組合員二取次ヲ乞フ。

以上の如き次第にて遂に注文としては一車をも得ざりし訳に御座候へ共今后の下地は作りたる積りに有之候。尚右不成績の理由左の如きかと存ぜられ候。

一、只今移出米の時期に非ること。

二、本年は玄米にて移出せらるゝもの多きこと。

三、他地方にて生産過剰の結果必死の売込をなし居ること。

四、盛岡は当工場の運賃による長処を充分発捧し難きこと。

五、化粧粉として使用するもの多く、或は無砂を標ぼうするもの多きこと。

之に対し当工場策戦としては、

一、敢迄成分の点と色白からざるもの揚粉を日立たしめずと主張し、石灰入の米糠を高価ならしむるやう宣伝すること。

二、何等かの工夫にて一車値段にて小売すること。大精米場には更に廉価に供給すること。

三、屈せずして絶えず外交すること。

の外はなきかと存ぜられ候。既に三春産の純白なるもの十五貫盛岡六十銭とすれば当工場右の点にては到底及ばざる訳に有之候。次に三春助川共割合農村及小都市へは未だ入込み居らず候間その方面へ宣伝すること、並びに特に工場に近き地方、一ノ関附近水沢附近乃至宮城県北部に大にカを加ふること必要かと存晋られ候。

今日は当地にて残部の発送、(見本到着候儀)を了へ明日は今一度盛岡及日詰等手を入れて見度と存居候

敬具

  鈴木場長殿

宮沢拝