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[358](1931年6月4日)鈴木東藏あて 葉書

(表)東磐井郡 陸中松川駅前 鈴木藤三様
   四日午后三時 厨川駅ニテ 宮沢賢治

十二時十五分当駅に下車して種馬所と育成所とを訪ひ申候処両処共矢張本年は予算なくして録に肥料も買はざりし由但し育成所の方は少量八戸より買ひしとて見本を示され種馬所の方は消石灰を用ひたりと申し候。尚両方共に貴下の御来場ありし由を申し居候。八戸の見本敢迄色は黝くなるほど之にては搗粉は出来まじくと思はれ候。種馬所の方今年中尚脉あるらしく今夏末までに紹介を得て今一度参るべく候。

扨明日よりは携粉の封筒書きを致すく先づ私にて岩手県内を書き始 め申すべく右御諒承を願ひ上候

敬具