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[35](1917年7月29日)保阪嘉内あて 葉書

  (表)甲斐国北巨摩郡駒井村 保阪嘉内様
     陸中国小国峠麓ニテ 賢治

・釜石の夜のそら高み熾熱の鉱炉にふるふ鉄液のうた。

・この群(東海岸実業視察団)と釜石山田いまはまた宮古と酒の旅をつゞけぬ。

・やうやくに湾に入りたる蕩児らの群には暮れの水の明減。(宮古湾)

・蕩児らと宮古にきたり夜のそらのいとゞふかみに友をおもへり。(こゝにて群をはなる)

・うるはしの海のビロード昆布らは寂光のはまに敷かれひかりぬ。−(浄土ヶ浜)

・青山の肩をすべりて夕草の谷にそゝげる青き日光。