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[343] 1931年5月12日 鈴木東藏あて 封書(封筒ナシ)

拝啓

昨夜仙台の宿に関口氏御来訪有之、色々今後の方針に関し親切に御指図有之宮城郡今年の注文期日切迫の件全く当方(関口氏)の落度なりしなど申され候 就て明年度は今年夏より宣伝を完全に行ひ十二月頃より発送着手せられ度とのことに有之候 尚その節昼県庁にて定めたる仙南一仙北五の肥料店扱は監督上面白からず(炭酸石灰を消石灰価格にて売ること)矢張仙南一仙北一と成し度その代り数量は県より相当量引取様通達すべしとの事故右は承知致し置候 尚価格二十五銭及二十六銭も宜敷明年は必らず今年の十数倍を獲さすべく敢迄価格品質に改善を加へられたしとの儀に有之候

就て今朝右指定の小牛田肥料会杜へ参り六月末一車を皮切りとして相当量年末迄引取様約成り申候間右御心組置奉願度 次に当地(築館)の栗原郡農会に工藤技師(今朝再訪)の招介状を携へて来訪種々説明仕候処郡農会技術員の詞にては効用価格申し分なきも今年は各農家既に支度せりとの事にて甚悲観の状態に有之既て只今再び工藤技師に書信して紫雲英用石灰は六月卅日二番除草迄は有効故六月廿日迄に各農家更に購売候様勧誘せられ度旨申送り並びに当地運送店等を訪ひて運賃値引交渉の上再度郡農会を訪ひ兎に角十八日の講演会には工藤氏推奨の心算なればその支度丈はせられ度就て説明書五百部丈送附候儘当日集合の人人に手渡し候様依頼致し置候。実に当郡には紫雲英約千町歩有之余程の努カを致しても効あるべしと存候。

  扨て工藤氏依頼左記御送附願上候

 一、炭酸石灰現在製造の微粉(表装吟味荷札附)弐俵
       宮城県栗原郡築館町栗原郡農会宛

 二、説明書五百枚 仝農会宛

 三、炭酸石灰現在製品 壱俵
     小牛田町斉藤報恩会農業館 工藤文太郎宛

    外に搗粉 約一貫匁

   並びに左記併せて御発送願上候

 一、説明書百枚 岩沼町鈴文商店 炭酸石灰 一貫匁

 二、説明書二百枚 小牛田町小牛田肥料株式会杜 炭酸石灰 一貫匁

次に私今日工場へ立寄るべきの処一ノ関六時にて時間間に合ず候間先は右紙面にて申上置二三日中用務敢纏め再び工場へ参上可仕候

敬具

   五月十二日

宮沢

 鈴木場長殿

  尚栗原は五車乃至八十車
  小牛閏は夏迄には五車大丈夫と存候