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[320] 1931年4月3日 高橋清吾あて 下書

拝復

四月二日附貴簡拝誦 注文請取に関し工場事務所と打合せ不充分なりし為色々貴下に御迷惑と相成候段寔に御気の毒に有之殊に県農務課と打合せの価格を工場より貴下に御送達申上ざりし中に製品処分の関係より急に諸方注文取纏め、功労ある貴下を出し抜きたる形となりたる儀如何にも貴下の御憤慨も御尤と存上候 何分にも小生としては貴下の御事情全く拝承せず唯々宮城県よりの注文着前に右運賃を調達するの考にて水沢出張も尽く場長の一諾に仍て行ひたる次第此点充分御諒承被成下今後の件に関しては貴下より場長に御書談又は御面談被成正確に御決定願上候 価格の儀も県肥料検査官と数次折衝して定めたる次第故其辺御諒察の上は何卒今後共折角の御力添を賜はり度奉懇願候 先は取急ぎ甚粗略乍ら貴答迄申上度如斯御座候

敬具

  四月三日

宮沢賢治

 高橋清吾様