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[312](1931年3月29日)鈴木東藏あて 封絨葉書

(表)東磐井郡 陸中松川駅前 鈴木藤三様
(裏)一ノ関ニテ 宮沢賢治 (封印)〆

取急ぎ要件のみ申上候 前便差立後当地(一ノ関)に参り花巻温泉にて知り合の加賀長氏に注文を請ひ候処早速に御承知被成下四月十日迄に三車引受の約束を致し候 但し右の内一車は水沢中林氏積込后直ちに着手被成下度黒沢尻郡司氏は未発送に候はゞその次廻しと致され度候。右一車は矢張前沢同様の十貫入とし一俵に就き二銭高丸となし則ち十貫入二百五十臥にて一ノ関丸一運送店扱ひ金八拾参円荷為替付にて御発送願上、右代金は其儀貴方へ御収納願置候。次に他の肥料店にくは仲買人より注文有之候共目今の肥料店には随分やり操りにて悪手段のみ講ずるもの有之私方にて信用調査書有之候間必ず一応御通知願置候

最后に水沢及川氏前沢附近にて可成高価に卸売致され居リ一寸将来困る処あるかと存候間その方の価格等解決迄は暫時御取引御休止願上候。帰花後正式に注文書送上候。

敬具

呉々も今回の水沢一ノ関二車は入念に御包装願上候