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[304](1931年3月4日)鈴木東蔵あて 封書(封筒ナシ)

再啓

先刻盛岡駅より通信申上候本日出県の顛末詳細左の如くに御座候

一、農事試験場工藤技手の御意見

イ.本県未だに石灰岩抹の試験成績なきを以て未だに確言は難きもその粉末微細にて一ミリ以下(三厘三毛以下)ならば必ず効あらん。就て本年ポット試験を行ふべきを以て製品各種一瓩宛送附されたし。
ロ.本年の試験結果によりては明年は勿論一般に推賞し県組合聯合会にても取扱ふべし。

ハ.本年としては農家の質問に対して否とは勿論答へざるべし。但し特種使用法には当然之を推せん。

二、農務課平井技手(肥料検査官)の意見

イ.価格今少しく切り詰め得ざるや。栃木消石灰は先方レール渡し二十五銭なり。
ロ.本年辛く採算の採れる範囲にて売るは差支なし。

三、仝課村井技師(肥料督励官)の意見

イ.本県は耕地に石灰を要すること甚多し。之に対しての現在使用量は甚少なり。他県産品を之に加ふるは当方も望ましからず。大いに改良して廉価に良品を出されたし。
ロ.粒形は当方主張の通り六厘迄は充分効果あるを信ず。但し農家は微粒効ありと思ふべきも六厘篩にてよきことを本官も大いに説明せん。
ハ.価格今少しく切り詰り衣装完全(叺可)ならば今后敢て推挙を吝まざるべし。

右に対する当方策戦。

イ.粒形はこの際蓋ろ六厘篩及七厘篩を固執せん。但し七厘以上は誤りても混合せざる様留意し、村よりの微粒註文は可成撃退すべし。

ロ.搗粉少しく細か過ぐるとの批評数処あり。搗粉に今少しく粗粉を混じ肥料用の方も生産費を低下したし。且つ新設備による価格上りを六厘及七厘篩にて慎重考査のこと。一ミリ篩は注文によってのみ作ること。
ハ.栃木産消石灰中に生灼けの石塊可成あり。明日その正体を検して価格外観に比して大に廉ならざるを明にし宣伝に供すべし。

尚数日中に当地注文相当量有之べくかますに詰込置被成下度候。

敬具