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[283](1930年11月20日)鈴木東藏あて 封書(封筒ナシ)

貴工場倍々御清栄之趣欣懐斯事に御座候

扨御照会の件左の通と存候

(1)塩基性(或はアルカリ性)とは、赤色のリトマスを青変するが如き性質を総称致し候 即ち酸性の反対に有之候 右は多く水酸基の存在亦は形成に依るものに候

(2)炭酸石灰は一般的には塩基性反応を調和する力無之候

(3)炭酸は無水炭酸として空気中に恒存し雨水は最微弱不純なる炭酸水と看做し得べく候

   亦土壌溶液は雨水に数倍する炭酸を含み之は徐々に炭酸石灰を重炭酸石灰として溶解致し候

(4)硝酸菌は石灰量充分にして通気良好なる土壌に最よく繁殖し農業上絶対に必要なるものに候 但しアムモニア態の窒素を摂取し得る作物(水稲など)は之れなくもよく生育致すべく候

(5)桑園の酸性を嫌ふ為に候 即ち酸性にてはよく繁茂せず、収葉少く、葉質悪きこと前回申上候通に御座候

先は取急ぎ御返事まで