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[281] 1930年11月18日 阿部芳太郎あて 封書

   岩手県花巻町末広町 阿部芳太郎様
   十一月十八日

過日はどうもありがたうございました。

菊の会の人たちから頼まれて申しあげる次第ですが、今度例の秋香会が俄に会員も増えて四十幾人になり、新任農学校長が会長、讐察署長が副会長で大に他地方と競争でやるといふのです。

就てあなたと中井先生と關徳彌さんとわたくしに顧問ですか、賛助会員ですか客員ですか、とにかくそこらになってくれまいかといふ訳です。勿論私どもは会費はいらず、責任もなし、まあ名を出して置いて、あなたは格段にいい花ができたとき淡彩で(一年に二つか三つ)スケッチをとってくださる(恐らくあなたには十弐分の仕事)中井先生はメタルか何かを考へて下さる、關さんは歌をよむ(他所へやる時殊に必要)わたくしは肥料など考へる、それからみんなで品評もするといった風の訳です。

それで何か得があるかといふに何もないです。ところがなかなかあの野暮臭い作り菊も面白いやうです。また作ってゐる人たちは実に奇体なところをいいとしてねらってゐるのは、私などには仲々勉強になります。

ご承知下されば幸甚、お進みなければまづあたり前で遠慮も何もありません。

このうちどちらかをお消し下さい。

 ご返事

   ○引き受くべし。
   ○あまり望まず。