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[273] 1930年9月2日 鈴木東藏あて 封書(封筒ナシ)

拝啓 残暑之候倍々御清栄奉大賀候

扱今般当郡湯口村有志数名貴工場へ見学に罷出度趣参上の上は相当量御取引願度由に有之候間何分宜敷奉願上候

次に小生も病気全く退散来春よりは仙台に出づる予定に有之候へ共今冬は尚当地にて店の手伝など致す積りに有之若し御事情宜しけれぱ執れかの一地方御引受各組合乃至各戸へ名宛にて広告の上売込方に従事致しても宜敷其辺の御心持伺上候 尤も右仕事は旧正月迄には一段落を付ける様の心構へに非ざれぱ明年の需要には遅るゝかと愚考仕候 先は右御伺迄如斯御座候

敬具

   昭和五年九月二日

宮沢賢治

鈴木東藏様