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[267] 1930年5月29日 鈴木東藏あて 封書(封筒ナシ)

拝復 御照会の米搗用白土の件 営養−研究所佐伯博士発表の分と存候 思ふに右は千葉県栃木県山形県等に産する石英粗面岩の浮岩乃至凝灰岩吉製したるものに有之御詞の針状物は一、石英斑晶 二、披璃質物 三、長石 中の孰れかに属するものと存候 元来右白土は孰れの成分も胃液に溶解せず殊にその圭角あって胃壁を傷つくるものは胃癌等の原因ともなるといふ意味と存じ候 右に対して石灰岩製品は仮令稜角を有し搗白に有効なるも胃中にては直ちに胃液に作用して溶解性の塩化石灰となるべく白米中に存する如き微量にては何等の害なきものと存じ候 右の点一応新聞紙上にて亦は直接研究所へ御問合せ確答を得られ置かば今后の販売に御有利と思はれ候 次に米糠に依て牛馬下痢の趣は白土によるもの石灰によるもの共に、多量に与ふれば或は当然惹起するに至るものかと存候、但し石灰によれる米糠(適当ならぱ)は鶏には充分有効なるべく牛馬にも幾分の効はあるべくと存候この点専門家の意見を徴され度候 肥料としては特に申し分なくよきものに候 先は貴答まで

敬具

   五月廿九日