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[266](1930年5月17日)鈴木東蔵あて 封書(封筒ナシ)

少し風邪を引きましてご返事遅れて済みませんでした。大豆の方には或は間に合はないとも思ひますがとにかく書いて見ますこんどはずっと砕けて葉書へ刷ったらどうかと思ひます。

農業合理化の尖端に!!

 稲作麦作養蚕いづれにもいかに摘順な気候でご同慶の至りであります。かくこうも啼いて大豆を播くころになりましたが石灰はご用意でありませうか。私ども製作の炭酸石灰は木灰或いは燐酸と混じ乃至直接に種子に接触せしめて何等の害なく効果は全生育期間に通じます。大豆をよく作ることは単に収量を増すばかりでなく又地味を肥す結果ともなりますのでぜひご使用をねがひます。直接の石灰肥料間接の燐酸加里肥料たる炭酸石灰を!

まづは床申乱筆ながら

 十七日

宮沢賢治

 鈴木東藏様