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[265] 1930年5月7日 鈴木東蔵あて 封書(封筒ナシ)

拝啓

貴簡拝誦仕候、配合の件肥料法該当品としては何としても窒素燐酸加里の孰れかを以てするより仕方なき法文に有之先日の加里配合不許可とすれば燐鉱粉などを混じても矢張同様に有之べく甚遺憾の次第に御座候 次に出資の件四五の資本家にも話し候へ共事業の必要或は有利は充分認め乍ら当今の株式の低落等にて多くは借り入れ金担保価格以上に達し居る現状に有之急の用には六ヶ敷模様に御座候間、貴工場としては既に石灰生産の咽喉部を扼し居るもの故当年は只今迄の需要注文を以て御満足被遊候方得策かとも存候 先は甚乍不充御返事迄如斯御座候

敬具

  五月七日

宮沢賢治

 鈴木東蔵様