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[261] 1930年4月8日 冨手一あて 封書

(表)花巻温泉遊園地事務所内 富手一様
(裏)四月八日 花巻豊沢町 宮沢賢治(封印)〆

先頃は立派なヒアシンスをありがたう存じました。いゝ時候になりました。小生又もや苗床を作って花の仕度をしました。結局園芸から手は切れさうもありません。

就いて突然ですがあなたの処でダリヤの球の余るのはありませんか。もし余分があれば一種一球づつお譲りを得たいのですが。尤も高価なのは手が出ません。ありふれたものでいゝのです。私の方ではこの夏、ヒアシンス色分二百球、ダッチアイリス五種四十球、水仙十八種五十球、オーニソガラムその他百球などできますが、それらと交換でも願へるなら特に有り難い次第です。今春は中菊は三十種洋菊は十六種とりました。例のサガ菊はやめました。ご返事お葉書で下さい。よけれぱこちらから誰か頂きに上げます。まづは。

   四月八日

宮沢賢治

 富手 一 様