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[423a](1932年夏頃) あて先不明 下書【旧247】

お手紙拝見いたしました。春にもお手紙ありましたが病気のひどく悪いときでしきりに苦慮しながら失礼いたしました。誰か農学校関係の方でも見えられたらいろいろきゝ合せてと思ったりしてゐましたが校長さんとの関係で先生方も見えられず困って居りました。折角のおたづねですが只今私の方ではどうもすることができません。公職に居て月給の幾割か交際に使ってゐる時でなければこれが丈夫で居ても一寸面倒です。農会あたり稗貫郡などは給料が出ず技師の人はやめましたし去年あたり村へ入った人もどうもすぐやめたり動いたりするところを見るとそっちはよほどむづかしいやうです。景気のいゝときは会社へなぞいゝ条件でお世話しましたがもう今は全く人をへらす一方です。農林の助手は春に来た人からきゝましたがあきがない様です。万一もしかどうかなるか学校の阿部先生へあてゝ叮ねいに手紙で頼んでごらんなさい。それもきいたあとなればもうあく迄もいまの所で頑張るより仕方ないでせう。村の技手はまだやめないのでせう。とにかくかういふ非常の場合は、病気と同じことであせって悪く動いてはだめです。私も去年の秋から寝たっきり、咳と痰がひどくもう死んだ方がいゝと何べん思ったか知れません。けれどもやっぱり一日生きれば一日の得です。