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[243] 1928年9月23日 沢里武治あて 封書

(表)盛岡市外 岩手県師範学校寄宿舎内 高橋武治様
(裏)八月廿三日 花巻 宮沢賢治 封印)〆

お手紙ありがたく拝見しました。八月十日から丁度四十日の間熱と汗に苦しみましたが、やっと昨日起きて湯にも入り、すっかりすがすがしくなりました。六月中東京へ出て毎夜三四時間しか睡らず疲れたまゝで、七月畑へ出たり村を歩いたり、だんだん無理が重なってこんなことになったのです。

演習が終るころはまた根子へ戻って今度は主に書く方へかゝります。休み中二度もお訪ね下すったさうでまことに済みませんでした。豊沢町に居ることを黒板に書いて置けばよかったとしきりに考へました。こんど出るときは大体葉書を出してください。学校ももう少しでせうがオルガンなどやる暇もありますか。どうかお身体を大切に切角ご勉強ください。まづはお礼乍ら、

    柳原君へも別に書きます。

  九月廿三日

宮沢賢治

 高橋武治様