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[240](1928年7月はじめ) 伊藤七雄あて 下書

お手紙ありがたく拝見いたしました。

はなはだ遅くなりましたがその節はいろいろと厚いおもてなしをいただきましてまことにありがたうございました。先月の末おきまり通り少し眼を患ひながら帰ってまゐりました。畑も庭もぼうぼう、かくこうはまだやって居り、稲はもうすっかり青い槍葉になってゐました。水沢へは十五日までには一ぺん伺ひます。失礼ながら測候所への序でにお寄りいたしまして、ご安心になるところ、ならぬところ、正直に申しあげて参ります。

花のたねはみんなありふれたものばかりですが、そのうちすこし大事のところをお送りいたしますからあれで充分お手習ひをねがひます。次にはかの軟弱不健全なる緑廊は雨で潰れるかはじけるかいたしませんか。  こちらも一昨日までは雨でした。昨日今日はじつに河谷いっぱいの和風、県会は南の方の透明な高気圧へ感謝状を出します。