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[226](1927年1月)齋藤貞一あて 封書

   和賀郡二子村 齋藤貞一様
   花巻農学校

お変りはありませんか。ご返事が遅れてまことに済みませんでした。東京でもまたこっちへ帰ってからもずゐぶん考へましたがどうも思はしいものがありませんでした。この頃になってやっと外国の例で勘定係り(Counter)といふものを見つけました。

対数表や計算尺いろいろな表など具へて置いてどんな計算でも引き受ける商売です。

差し当っては施肥量その他の問題で耕地の測量が非常に行はれて来ました。その最簡単な三角形に分けて三辺を測りそれから面積を出すもの√三辺の和の半×(同一第一辺)(同一第二辺)(同一第三辺)の計算など田一枚づつですから一部落で何千と要るわけです。こんな仕事はいかがでせうか。どうも手工でも何でも私は不利だらうと思ふのです。外国で立ってる限り日本でもだんだん立つやうになるだろうと考へます。