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[209] 1925年7月25日 宮沢清六あて 封書

(表)弘前歩兵第卅一聯隊第七中隊第一班 宮沢清六様 平安
(裏)七月廿五日 花巻農学校 宮沢賢治(封印)〆

手紙を見た。何と云っても暑くてずゐぶんひどいだらう。みんなには折角安心するやうにはなしてゐるけれどもおれもかなり心配してゐる。それでも人にはめいめいのもってゐる徳があってさうめちやめちやにひどい目に会ふまいとも思ふ。も少しのところだ。ひどいだらうがしっかりやってくれ。今年は志願兵も多いのだし十一月には帰れないだらうか。

こっちは愉快な仕事がうんとある。大いに二人でやらうでないか。おれたちには力はあるし慾はない。うまく行っても行かなくてもたのしく稼がうではないか。

工兵も騎兵も来てゐる。ずゐぶんひどさうだ。平安を祈る。

   大正十四年七月廿五日日