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[199](1921年12月)保阪嘉内あて 封書(封筒ナシ)

暫らく御無沙汰いたしました。お赦し下さい。度々のお便りありがたう存じます。私から便りを上げなかったことみな無精からです。済みません。毎日学校へ出て居ります。何からかにからすっかり下等になりました。それは毎日のNaclの摂取量でもわかります。近ごろしきりに活動写真などを見たくなったのでもわかります。又頭の中の景色を見てもわかります。それがけれども人間なのなら呪はその下等な人間になりまする。しきりに書いて居ります。書いて居りまする。お目にかけたくも思ひます。愛国婦人といふ雑誌にやっと童話が一二篇出ました。一向いけません。学校で文芸を主張して居りまする。芝居やをどりを主張して居りまする。けむたがられて居りまする。笑はれて居りまする。授業がまづいので生徒にいやがられて居りまする。

春になったらいらっしゃいませんか。関さんも来ますから。

さよなら。