目次へ  縦書き

[191] 1921年3月10日 宮本友一あて 封書

(表)青森県庁勧業課内 宮本友一様
(裏)大正十年三月十日 東京本郷菊坂町七五 稲垣方 宮澤賢治〔封印〕緘

合掌

お手紙ありがたく拝見いたしました

別冊勅教玄義に研究案内がありますからその順序におよりなさったらいゝかと思ひます差し当り一番緊要なのは天業民報でせう

信さんにも宜しく願ひます 只今は大切の時です 切にあなたの憤起を望みます

はやくお取り掛り下さい。

どの宗教でもおしまひは同じ処へ行くなんといふ事は断じてありません。間違った教による人はぐんぐん獣類にもなり魔の眷属にもなり地獄にも堕ちます。

 今回は私も小さくは父母の帰正を成ずる為に家を捨てゝ出京しました父母にも非常に心配させ私も一時大変困難しました 今は午前丈或る印刷所に通ひ午后から夜十時迄は国柱会で会員事務をお手伝しペンを握みつゞけです。今帰った所ですよ。

冗談ではありません。しっかりしっかり頼みますぜ。

    大正十年三月十日夜