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[190](1921年3月4日)宮澤政次郎・宮澤安太郎あて 封書

(表)岩手県花巻川口町 宮澤政次郎様 宮澤安太郎様

拝啓寒気尚厳敷と存侯処父上姶め皆々様御変り等も御座無く侯哉御伺ひ申上侯 当地にては鍛冶町御祖父様病院に付添被遊居侯へども御壮健の御様子故御安神奉願侯 琴様は昨日迄も大分吐気有之切なく御出でに侯処昨日午后周三氏及龍藏氏来院有之本日は俄かに安心の為か余程宜敷様相見え侯 神経性の嘔吐の由故これさへ納まらば腎臓の方も既に宜しき趣余程恢復かと存ぜられ侯 次に太郎様よりも御来書有之侯処大分お迷ひの様にも見受けられ侯この際一応出京侯様御命相成度私としては別段何の職業を勧める考も無之場所に就ても同様に侯。御帰正さへ相成り侯はゞ御都合次第後継希望者有之道は何業とても小生にて間に合せ申すべく侯間太郎さんには茲一ヶ月計り(余り長きは却って宜しからず侯)の間に任意の職業を断然撰定侯様御勧め被下度侯。学校、居所等もその上の事と存じ侯。一時兎に角いづれかに向ひても充分撰択の上ならざれば却って後に大破を生じ侯哉と存じ侯。尚明日又申し上げ侯。出京お許しあるならば茲三四日中に願ひ侯。

敬具