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[187](1921年2月上旬)保阪嘉内あて 封書(封筒ナシ)

お手紙ありがたうございます。ありがたうございます。

   すべてはすべてはみ心の儘にあらしめ給へ。

   すべてはすべては大聖人大悲の意輪に叶はせ給へ。

この上はもはや私は「形丈けでも」とは申しません。なぜならあなたにやがて心と形と一諸に正しい道を旅立たれるその日が近く、いや最早その日になってゐるからです。但しお父様や弟様を捨てゝ着のみ着の儘こちらにおいでになる事はどうしてもいけません。お父様にまだそれ迄お話しにはならないでせう。先づは静に静に大聖人の大慈悲をお伝へなされ如来の御思召をお語りなされ、さてその上で何としても致し方がないときは或は私の様な不孝の事も許され申すかも知れません。この度お出になるならばよくよく皆様にも御心配のない様にしてお父様のお許しを受けてお出になってはいかゞですか。私如きものの口から申しあげるのは本当に恐れ入ります。お許し下さい。あなたは総ての私の失策や僣越をも許して下さるだらうと思ひます。国柱会では私の行為も色々お叱りになりました。尤も私はいつもの癖でさっぱり事情も充分述べなかったのです。

今月の十六日は大聖人御誕生七百年の大切な大切な日です。それ迄に一寸お出になられませんか。汽車賃は私が半分出します。失礼ご免下さい。ごはんは私の所では駄目ですがお出になる丈なら三畳の汚い処ですが何十日でも宜しうございます。たゞ私の唯只の生活は実に見すぼらしいものですからそこは充分ご承知下さい。

    さよなら。