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[161](1920年3月頃)保阪嘉内あて 封書(封筒ナシ)

お変りはありませんか

兵営には外から考へられない様な辛いことも多いでせう 保阪志願兵はもう馬にはよく乗れますか 重い堅い四角な荷物をみんなに負けずにかつげますか。私はこのごろまたおかしななりをしてプランプランと東京のある坂を下りながらまじめな兵隊さんだちに行き遭ひそのなかに保阪志願兵も堅くたづなを握って行くさまを考へて泣きさうになりました。無いことを考へてひとりでわらったり泣いたりはおかしいやうですが私のやうな生活ではそうなりますよ。

いかにもいまがわれわれには大じな場合なやうです。まづはごきげんよう。