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[101] 1918年12月31日 宮澤政次郎あて 封書

(表)巌手県花巻川口町豊沢町 宮澤政次郎様 親展
(裏)十二月卅一日 東京小石川雑司ケ谷町一三〇 雲台館内 宮澤賢治(封印)〆

拝啓 昨夜八時御電報接手仕り丁度私共も願ひ居り候次第にて御命の如くに本日も滞京仕り候

その後病状殆んど不変にて朝は三十八度位夜は三十九度乃至三十九度二分昨夜は三十九度に御座候

元気は変りなく相応に御座候へども何分労れも有之顔色は私共着京当時よりは稍々悪く相見え候 但し別段心配は御座無く候

本日病院へ今迄の払ひを終り申し候。

   入院料二十日より三十一日迄 参拾円
   看護料           拾五円六十銭
   看護婦食料         五円五拾銭
   貸布団料(看護婦所用)    弐円四拾銭
    計  五拾参円五拾銭

外に諸心附け五円只今迄に掛り居り候 看護掃の考にては先づ一月中旬退院の様に御座候へども如何相成り候や未だ明ならず候

小包は最早御発送相成り候や 若し未だならばその節

   岩谷堂 木化蛋白石 二箇
   繋温泉    瑪瑙 数箇

   (大なるものは二枚戸棚又は床の間、
    小なるものは店の二階のボール箱)

を御入れ下され度右は水晶堂に持参仕るべく候

尚為念申し上げ候 私の下宿の番地は雑司ヶ谷町一三〇 に御座候前回迄は誤り伝へられ候次第にて郵便局へは配達願を出し置候

先は右迄、尚私共は更に変り無之御安心奉願候

敬具 

  七年十二月卅一日

賢治

 父上様