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     大正十年四月(1)

 

    伊勢。

 

杉さかき 宝樹にそゝぐ せいとうの 雨をみ神に謝しまつりつゝ

 

かゞやきの雨をいたゞき大神のみ前に父とふたりぬかづかん

 

降りしきる雨のしぶきのなかに立ちて、門のみ名など衛士は教へし

 

透明のいみじきたまを身に充てゝ五十鈴川をわたりまつりぬ。

 

五十鈴川 水かさ増してあらぶれの人のこころもきよめたはん

 

みたらしの水かさまして埴土はにをながしいよよきよきとみそぎまつりぬ。

 

いすず川 水かさ増してふちに群るるいをのすがたをけふは見ずかも。

 

硅岩のましろき砂利にふり注ぐいみじき玉の雨にしあるかな。

 

    内宮

 

大前のましろきざりにぬかづきて、たまのしぶきを身にあびしかな。

 

五十鈴川 水かさ増してはにをながし天雲ひくく杉むらを翔く。

 

雲翔くるみ杉のむらをうちめぐり 五十鈴川かもはにをながしぬ。

 

    二見

 

ありあけの月はのこれど松むらのそよぎ爽かに日は出でんとす。