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     大正七年五月より(5)

 

  ※ 天窓二首

 

錫病の
そらをからすが
二羽飛びて
レースの百合も
さびしく暮れたり。

 

編物の
百合もさびしく暮れ行きて
灰色錫のそら飛ぶからす。

 

むねとざし
そらくらき日を
相つぎて
道化まつりの山車は行きたり。

 

みそらより
ちさくつめたき渦降りて
桐の梢に
わななくからす。

 

つつましき
春のくるみの枝々に
黄金のあかごら
ゆらぎかゝれり。

 

なまこ山
海坊主山のうしろにて
薄明穹の
くらき水いろ。